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音信不通の親の相続手続きについて

親が亡くなったときによく浮上する問題の1つで相続があります。相続人間で争いが勃発したり、そもそも相続人の数が多くて話が進めにくかったり。その中でも音信不通の親が亡くなったときの遺産を相続するかしないか問題は、様々な課題を内包しています。音信不通の親が亡くなったら、音信不通の親の相続にはどのような課題があるのか、どのような対処をすればいいのか、確認しましょう。

■親と音信不通になる可能性
親と音信不通になるケースは様々です。両親が離婚した場合、一緒に住んでいない親とは音信不通になることがあります。また意図的に連絡を取れないようにする、連絡を取れないようにされているというのも親と音信不通の状況になりえますね。ただ親が亡くなった場合は、何らかの理由で死亡したことが判明するでしょう。地元の知り合いからの話、保険会社からの連絡、亡くなった親による債務不履行があれば履行の催促の電話など。どのような形であれ、音信不通だった親の死亡を知ったとき、相続人である子どもは遺産相続に関する手続きをしなければならないことになります。

■相続とは
相続は亡くなった人、つまり被相続人の権利や義務といった生前に持っていたすべての財産を、法律で決められている関係性の人が受け継ぐことを指します。法律で決められている関係性の人とは、配偶者・子ども・配偶者・兄弟です。相続人と言います。亡くなった人の財産は遺産と呼ばれますが、預貯金や土地建物、株式の有価証券といった経済的な価値のあるものをプラスの財産と言います。一方借入金の債務や住宅ローンの残高債務・未払い金などはマイナスの財産です。相続をすると決めると、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も受け継ぐことになってしまいます。プラスの価値をマイナスが上回るというケースもあるので、相続をするかどうか決めるときには遺産がどのような内訳でどのくらいあるのかを事前に調べる必要があります。相続をしないと意思表示することを相続放棄と言います。相続放棄をすればプラスの財産もマイナスの財産も全て受け取れないようになるので、相続しなくない人は相続放棄をしましょう。ただし相続放棄には期限が設けられているので注意してください。

■相続のルール
相続には法定相続・遺言による相続・分割協議書による相続の3つがあります。

・法定相続とは
法定相続とは法律で決まっている配分の通り、法定相続人が遺産を相続することを指します。法定相続人とは民法で決まっています。被相続人の配偶者と亡くなった人の血族です。配偶者は生存している限り常に相続をすることになっています。一方血族には相続順位といって関係性によって相続ができる優先順位が決まっています。まず子ども(子どもが亡くなっている場合は、生まれている場合ですがその子ども)・次に被相続人の親や祖父母といった直系尊属。そして被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合はその子ども)という具合です。順に第1順位。第2順位、第3順位と決まっています。相続権は第1順位が持つものですが、第1順位がいない場合、第2順位へ。第1順位も第2順位もいない場合は第3順位に相続権が移転します。もし子どももいない、両親とも既に他界している、兄と弟も亡くなっているという場合では兄に娘がいたり、弟に息子がいればその2人が相続人となるのです。また法律で決まっている配分とは法定相続分と言います。

配偶者がいるかどうかで配分が変わります。まず配偶者がいる場合。第1順位の者がいれば、配偶者と第1順位の者の分配は2分の1ずつ。第2順位の者がいれば、配偶者と第2順位の者の分配は3分の2が配偶者で3分の1が第2順位の者へ。そして第3順位の者がいる場合は、配偶者が4分の3で第3順位の者が4分の1という分配になります。一方被相続人に配偶者がいない場合は第1順位の者がいれば全てを第1順位の者が相続します。第1順位の者がいないならば第2順位の者が、第1順位の者も第2順位の者もいないのであれば第3順位の者が全て相続するのです。ちなみに順位内で複数いる場合は、その人数分で相続分を均等に割ります。第1順位の子どもが2人いる場合、2分の1ずつ相続するという具合です。ただ法定相続人を確定するのには被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、つまり連続戸籍が必要です。この連続戸籍を取得するには、被相続人が戸籍をおいていた地域の役所に請求しなければなりません。また引っ越しなどをしていれば1つの役場だけでなく、請求した戸籍に記載されている転入元の地域の役所にも請求しなければなりません。相続の手続きをする上で連続戸籍により相続人の確定ができないと相続の手続きをすることができないので、法定相続にかかわらず相続手続きは非常に時間と手間のかかる作業です。

・遺言による相続とは
遺言は被相続人が亡くなる前に財産や物事に関して意思表示することを言います。基本的には遺言が残されていれば、遺言に則り相続の手続きがなされますが、相続人全員が遺言の内容に反対や疑念を持つ場合は遺言に従う必要はありません。弁護士や司法書士などを交えて、相続人全員で分割協議書の作成をすることになります。また遺言にも種類があります。遺言の種類によって法律上の取り扱いが異なるので「思っていた効果が得られない」というケースも少なくありません。まず被相続人が生前に作成したもの、自筆証書遺言というものです。手書きであることが基本ですが、財産目録などはワープロでの作成が可能です。被相続人の家財や持ち物を整理しているときに見つかる場合が多いですが、決してその中身を開けてはいけません。なぜなら利害関係のない第三者によって遺言が開けられてしますと、開けた人が罰金刑に処される可能性があるためです。発見した際は家庭裁判所で遺言書の検認を受けましょう。次に公正証書遺言書です。被相続人が生前に公証役場などで公証人に遺言の内容を話し、その内容で遺言書を作成してもらったものです。このとき原本・正本・謄本の3つが作成されます。原本は公証役場に保管されるので、遺言の内容が第三者によって改ざんされるおそれはありません。また正本と謄本は被相続人が持っていることができるので、相続の手続きを行政書司に依頼するときにどちらかを渡せば、相続人だけで手続きを進めるよりもスムーズに相続の手続きをすることができます。

・分割協議書による相続とは
全ての相続人が協議して遺産の分割の方法や内訳などを決め、実行するのが分割協議書による相続です。相続人が少なければ進めやすいですが、相続人が多かったり、相続人の中で連絡の取れない人がいたりするとなかなか進みません。また協議内容自体にも納得がいかないという人がいれば、話し合いがしやすい環境であってもまったく進まないということにもなります。被相続人との関係性を考慮して相続内容や分配の割合を調整するのが可能なのが魅力的な分割協議書での相続ですが、それぞれの事情を考慮して進めていかないといけないことを考えると場合によっては手間のかかる相続と言えます。

■相続の期限・ルール
法定相続、遺言による相続、分割協議による相続。相続方法は3つありますが、どの方法も選ばずに相続をそもそもしないという選択もできます。これが相続放棄。音信不通の親の死を、相続人であるあなたが知った瞬間から、相続放棄の意思表示が有効なリミットができます。親の遺産を放棄するための手続きは、親の死を知ってから3カ月以内に、裁判所に申し出なければなりません。あくまで死亡を知ってからなので、昨日死んでいても5年前に死んでいても、親の死亡をあなたが知ったときからの起算となります。ただし、死亡したことを知ってから3カ月以内に相続放棄の申し出を裁判所におこなったという証拠が必要です。原則死亡日から3カ月以内に相続放棄をしなければなりません。死亡日から3カ月以上経過している状態で相続放棄をするには、相続放棄をした日が親の死亡を知ってから3カ月以内であったという証拠が必要なのです。親の死を知るきっかけとなった公的書類などの根拠を裁判所に提示し、相続放棄が認められるようにしなければなりません。行政書士に依頼したり、法律事務所に依頼したりするのが一般的です。

■相続放棄とは
遺産の相続権を持っているにもかかわらず、遺産の相続をしないという選択も可能。これが被相続人が死亡したことを相続人が知ったときから3カ月以内に意思表示をする、相続放棄です。相続放棄をするとプラスの財産もマイナスの財産も引き受ける権利を失います。被相続人に莫大な借金などがあれば、相続放棄をしたほうがいいのではないだろうか、と考える人もいるでしょう。しかし相続放棄のメリット・デメリットを理解していないと、相続放棄を選んだほうが良いかどうかは判断しにくいです。

・相続放棄のメリット
まず被相続人の借金の返済をしなくて済むことが挙げられます。相続放棄は被相続人の権利だけでなく、義務も引き受けなければなりません。しかし相続放棄をすれば被相続人の生前に発生した義務を引き受けなくて良いので、思わぬ借金トラブルに巻き込まれずに済みます。次に相続のトラブルに巻き込まれないという点もあります。相続人が1人の場合は、遺産分割の割合を揉める相手はいませんが、相続人が複数人いたり、代襲相続などが発生していたり、相続人の内の1人と連絡が取れなかったりすると、相続手続きがスムーズに進まないということがあります。相続人だけで進めるには、銀行や証券会社に財産目録などを出してもらうまでの手続きに時間がかかったり、費用もかかります。煩雑なため、相続手続きを代行してくれる会社に依頼する人は少なくありません。煩わしいから関わりたくない、関係性の薄かった人の相続の手続きをわざわざしたいとは思わない、そんな人は相続放棄をして相続自体に悩まなくて済む道を選ぶ人も多いです。

・相続放棄のデメリット
まず相続放棄をしたら、財産放棄の申し立てを撤回できなくなります。相続放棄をしたあとに、他のプラスの財産の存在が発覚したとしても相続ができないということです。「もしかしたら他に財産があるかも」と思うのであれば財産の手がかりになりそうな証券会社からの手紙や通帳などを確認するのが良いでしょう。次に家の相続もできないという点です。もし被相続人が所有者である家に住んでいる場合、相続放棄をすると家に住む権利は消滅するので家を出なければなりません。また生命保険や死亡退職金の非課税枠を利用できないこともデメリットの1つ。もともと生命保険や死亡退職金を受け取る際、非課税で受け取れる額が決まっているのですが、相続放棄をすると受け取るときに非課税でなくなるので相続税が発生します。相続放棄では生命保険などは受け取れますが、非課税枠の利用ができなくなるので注意が必要です。

・相続放棄をするために必要なもの
相続放棄に必要なものは被相続人の出生から死亡までの全戸籍・被相続人の住民票か戸籍の附票・相続放棄をする人の戸籍謄本・相続放棄申述書です。被相続人と相続放棄をする人の関係を証明しなければならないので、死亡日だけでなく被相続人の全戸籍の正式な書類が求められます。必要な書類が集められたら、家庭裁判所へ提出しましょう。家庭裁判所から相続放棄に必要な記入書類が送られてくるので、何度か郵送でのやり取りをした後、相続放棄が認められます。

■相続放棄は相続手続きの1つ
相続放棄は自分の親が死んだ場合だけでなく、祖父母、伯母伯父、兄弟姉妹、自分の血縁関係にある人の死によって、相続手続きの選択肢の1つとして挙がるものです。また結婚をしているかたであれば義理親の死亡によっても、配偶者の相続の手続きの1つとして考えられるもの。自分の血族だけでなく、配偶者の義両親を含めた血縁関係内で、誰かが亡くなった場合に選択肢として考えられると視野を狭くせずにいられるでしょう。相続放棄のメリット・デメリットを理解していざというとき、相続放棄の申し立てができる3カ月以内に迅速な行動ができるようにしておくと慌てずに済みますね。

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