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中絶手術後の患者と音信不通になった場合、病院側ができることとは

■病院で働いていて困ること
病院で働いていて困ることはたくさんあります。医療従事者としての悩みは尽きません。日勤の仕事が夜勤に回ってきたときの慌ただしさ、入院患者からの無理難題、気分の浮き沈みの激しい医者がいたり、新型コロナウイルスによって業務の量が以前とは比べ物にならないほど増えたりなど、挙げればきりがありません。

そんな中で発生しやすい悩みが、中絶手術後の患者と連絡が取れなくなるケースです。中絶手術後に患者と連絡が取れなくなった場合に、医療従事者として何をやるべきなのかを理解しておくと、悩まずに済むでしょう。

■中絶手術後の検診
中絶手術自体は、妊娠初期であれば1日、妊娠中期であれば2日で受けることが可能です。

術後検診は、術後1週間~2週間ほど経ってから行われます。子宮の収縮の様子をチェックし、子宮内に遺残がないか、子宮に異常がないか、日常生活を送る上で何も問題がないかを確認する重要な検診です。

しかし、この術後検診を受けに来ない患者は少なくありません。もし子宮内に大きい遺残があった場合、自然と出ることはなく、再度手術が必要です。手術をしない場合は不妊症になるケースもあるため、中絶手術後の検診は非常に大切なのです。

■中絶手術以外の手術を行った患者の場合は身元保証人へ連絡
中絶手術以外の一般的な手術を受けた患者と音信不通になった場合は、まず身元保証人に連絡をします。身元保証人とは、入院や手術を受けるときに必要な存在です。身元引受人とも言います。

身元保証人は、入院や手術を受ける当事者の責任を負います。具体的には、入院費用を当事者が払えなくなった場合に代わりに支払う義務や、病院側から退院や転院を指示された場合に、当事者を入院している病院から退去させる責任です。当事者が意思表示ができない状況にあるときには、身元保証人が治療方針や今後の流れについて聞き、判断を下すことが求められます。そして、当事者が入院や手術を受ける際に記名を求められる書類に、身元保証人が自筆で記入する箇所もあります。もし手術後に患者と音信不通になったときには、身元保証人の連絡先を確認し、連絡を取りましょう。

■中絶手術では中絶同意書の記入が求められる
中絶手術以外の手術であれば、身元保証人の連絡先などを入院や手術前に記入するのが一般的です。しかし、中絶手術の場合には、手術を受ける当事者が身元保証人を用意する必要はありません。

その代わり、中絶手術を受ける際に求められるのが、中絶同意書の記入です。性交渉をした相手が中絶に同意していることを病院側に示すものです。中絶をするには、手術を受ける女性側の意思だけでなく、男性の同意も必要となります。これは母体保護法によって定められていて、同意書に両者のサインがないまま中絶を実行すると、法律違反として罰せられます。

ただし、性暴力や脅迫による性交渉があったための妊娠や、相手が誰なのかわからない、男性に同意書を書いてもらえないなどの理由があれば、同意書に相手のサインがなくとも中絶手術を受けることができます。なぜなら、母体保護法に「母体の健康状態を悪化させる事由があれば、中絶手術を受けられる」という内容が明文化されているためです。

ただし、未成年で中絶手術を受ける場合は、親の同意が必要な病院が圧倒的に多いです。成人であれば自身のサインだけでも中絶手術を受けられますが、未成年だと自身のサインだけでは手術を受けられないので、親への相談が必要となります。

■基本的に術後検診を受診を勧める連絡はしない
患者が術後に音信不通になった場合、病院側から本人以外への連絡はできません。なぜなら、病院には守秘義務があるからです。よって、患者自身の同意がない限り、同意書にサインされている家族や相手に連絡することはありません。

「知らせがないのは良い知らせ」とも言います。つまり、術後検診を受けに来院しないということは、捉え方によっては元気であるからだとも受け取れます。術後検診に予定通り来られる患者もいれば、諸事情で来られない患者もいるでしょう。医療従事者が中絶手術後の患者にできることは、必要な検診を施すことです。そして、中絶を選んだ患者が自身を責めないように、声をかけることくらいでしょうか。「術後検診に来ないのは元気である証拠」と信じて、心の中で祈りましょう。

■再度妊娠して中絶手術を受けにくる患者もいる
術後検診は、子宮に異常がないか確認するための必要な検診です。その検診に来ず、再度妊娠してしまい、中絶手術を受けに来る患者が存在します。特に、中絶手術後は妊娠しやすい時期と言われているので、また妊娠してしまうのです。ここで大切なのは、患者を責めないことです。患者にはさまざまな事情があります。深追いせずに、患者の気持ちを汲んで、親切な対応を心がけてください。サポートする人がいれば、患者の心は落ち着くでしょう。

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